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トラブルを防ぐ産廃実務のツボ

廃棄物処理法の内容、運用方法を平易に解説

あまりにも恐ろしい欠格要件の話-その③

>>>この記事は、あまりにも恐ろしい欠格要件の話-その② のコラムの続きです。

【4】「ソレ、身に覚えがあるかも」

産業廃棄物許可を申請し申請書類が受理されると、行政庁は会社自体(法人又は個人)・役員・5%以上の株を保有する株主・法定使用人などについて前科や暴力団との関連を徹底的に調査します。

失礼をお許しください

産業廃棄物の許可を取得したいというお問合せをいただいたお客様には、電話口でまず初めに役員の欠格要件のことをお聞きしています。

【質問】 この5年の間に会社自体又は役員・株主で次のような人はいませんか?

  1. 環境系の法律例えば廃棄物処理法とか水質汚濁防止法とかに違反をして罰金を払ったことがある。
  2. 刑務所に入ったことがある。または人を殴ったりなどして罰金を払ったことがある。

電話するお兄さん2お客様にこんな失礼なことを質問するのですから、もちろんきちんと前置きをしてからお聞きしています。

許可の4要件のうち最も対処が難しい要件が「欠格要件」ですから、これに該当した場合はずばり次のように申し上げています。

「役員を下りていただいて、変更登記をして会社の登記簿謄本から名前を外してください。そうでないと許可はとれません。」

電話の相手が社長さんの場合は、大抵は「えっ!」という短い言葉を発したあと、しばらく沈黙の時間が流れます。

ストレス社会!それでも暴力はいけません

お問合せの中で、廃棄物処理法や大気汚染防止法・水質汚濁防止法・浄化槽法などの環境系の法律に違反したことがあるというお客様はほとんどありませんが、「昔、暴力をふるってしまって警察のお世話になった」というお客様は少なからずいらっしゃいます。

廃棄物処理法では8項目の欠格要件を設けておりますが、そのひとつに「暴力団・暴行・傷害等」の要件があり、過去5年間に以下の対象者が「暴力団・暴行・傷害等」の欠格要件に該当する場合は許可がおりません。

● 欠格要件の対象者
罰金2

  1. 申請した法人自体
  2. 申請した個人事業主本人
  3. 役員(監査役・相談役・顧問なども含む)
  4. 5%以上の株を保有している株主
  5. 支店長(政令使用人)

ちなみに、この欠格要件の内容は、建設業許可を取得する際の欠格要件にもなっていますので、建設業許可をこれから取得するとお考えの業者さんもご参考にどうぞ。

● 次に掲げる罪を犯し、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない人がいる時(廃棄物処理法第7条第5項4号ハ)

  • 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(第31条第7項を除く。)
  • 刑法第204条(傷害罪)
  • 刑法第206条(現場助勢罪)
  • 刑法第208条(暴行罪)
  • 刑法第208条の2(凶器準備集合及び結集罪)
  • 刑法第222条(脅迫罪)
  • 刑法第247条(背任罪)
  • 暴力行為等処罰に関する法律
    (団体または大勢による集団的な暴行、脅迫、器物損壊、面会強要などを一般的な刑法上の犯罪よりも特に重く処罰する法律のことです)

※「暴行罪や傷害罪より罪が重い強盗罪・強姦罪・恐喝罪は該当しないのか?」と疑問に思う方がいらっしゃるかもしれませんが、安心してください。これらの罪状には罰金刑がなく「懲役刑」しかありませんから、自動的に欠格要件に該当します。

上記の廃棄物処理法の条文のとおり、何かの理由で他人に暴力をふるってしまっても罰金刑以上の刑罰が執行されなければ欠格要件には該当しません。

それでは暴力をふるってしまって罰金刑を言い渡されるということはどういうことかを、『刑法第204条の傷害罪』と『刑法第208条の暴行罪』を例にとってまとめてみました。

つかむな我慢!殴るな危険!

暴行罪と傷害罪の違いを簡単に言いますと、「相手の胸ぐらをつかんで平手打ちをしたら暴行罪」に、「相手が鼻血を出してしまったら傷害罪」に問われる可能性があります。

もちろんこれらの行為に至る状況は千差万別ですから、あくまでも可能性があるということですが、起訴されて有罪判決が下されると一般的に暴行罪は罰金刑、傷害罪は罰金刑か懲役刑の判決が下されます。

暴行罪 傷害罪
根拠条文 刑法第208条 刑法第204条
罪状の意味 暴行を加えた者が人を傷害するに
至らなかったとき
人の身体を傷害したとき
公訴時効 3年 10年
刑罰 2年以下の懲役、30万円以下の罰金、
30日未満の拘留、1万円未満の科料の
いずれか
15年以下の懲役又は50万円以下の罰金

暴行罪や傷害罪の成立過程は以下のとおりです。

● 暴行罪や傷害罪の成立過程
刑事さん2

  1. 他人に暴力をふるって現行犯逮捕または被害届により警察から呼び出しがあります。
  2. 警察で事情聴取され、容疑がはれない場合は検察官に事件が引き継がれ、拘留ののち起訴されます。
  3. 起訴には正式起訴(公判請求)略式起訴(略式請求)があります。
    正式起訴は公開の法廷で刑事裁判を受け、懲役刑を受ける可能性があります。
    略式起訴の場合は、裁判は被告人抜きの密室で行われ、下される刑罰も罰金だけとなります。

くれぐれも起訴されないように

たとえ警察署の地下にある留置場に入ったとしても、軽微な犯罪と認められ身元引受人を立てて釈放されれば、罰金刑を受けることはありませんので欠格要件とは無関係です。

あくまでも起訴されて罰金刑以上の刑が確定し前科がついた場合のみ、欠格要件に該当します。

起訴されないためには、逮捕されたり逮捕が予定された時点で優秀な弁護士さんをたてて、被害者と示談交渉を進めるなどして事件が不起訴処分になるように手を打つ必要があります。

何といっても日本の司法制度は、起訴されたら99%有罪判決になりますから、弁護士費用は高いなんて言ってはいられません。

余談ですが、お問合せの中には、「スピード違反で罰金を受けたことがあるけど許可はとれますか?」というお客様が大勢いらっしゃいます。

スピード違反の時にきられる青切符というのは行政処分としての「反則金」のことですし、一般道での30㎞/hオーバーや高速道路での40㎞/hオーバーのスピード違反に科される赤切符の「罰金」は、あくまでも道路交通法違反に基づくもので欠格要件には該当しません。

【5】まとめ

処理業の社長が留意すべき大事なこと

●産業廃棄物処理業の経営者が留意する4つのポイント
暴力団

  1. 反社会的勢力とのつながりには細心の注意が必要です。
  2. 許可申請を行なう場合は、役員等が欠格要件に該当していないことを5年前まで遡って事前に犯歴等のチェックをしてください。
  3. 廃棄物処理法や、「水質汚濁防止法」「大気汚染防止法」「騒音規制法」「浄化槽法」「振動規制法」「悪臭防止法」などの環境系法令に明るくなっていただき、くれぐれも違反を起こさないでください。
    廃棄物処理法の違反行為をしてしまい、両罰規定により会社にも「罰金刑」が来た場合は一発でアウトですから。
  4. 万が一、欠格要件の対象者が禁固刑以上の刑事罰(廃棄物処理法や傷害罪等の場合は、罰金刑以上)を科される可能性のある容疑で逮捕された場合は、刑が確定した時点で欠格要因に該当し許可が取り消されますから、刑が確定する前に弁護士さんに対応を相談してください(これは弁護士さんの仕事であって、行政書士は相談にのれません)。

刑事処分や両罰規定はこちらを参照  >>>  刑事処分と両罰規定

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あまりにも恐ろしい欠格要件の話-その②

>>>この記事は、あまりにも恐ろしい欠格要件の話ーその① のコラムの続きです。

【3】『許可を取得した後』の欠格要件

『ある日突然欠格要件に!』 は事業の存続を左右する

さて、万が一「会社や役員が欠格要件に該当することになったらどうなるか?」を考えてみましょう。

●ある日突然・・・・・
Y市でリサイクル業を営むS社は、産業廃棄物処分業許可を取得し、AB二つの事業所でそれぞれ破砕機の設置許可と、合わせて5つの自治体の産業廃棄物収集運搬業許可とY市の一般廃棄物収集運搬業許可を取得して営業しています。

ある日、A事業所の従業員が廃ドラム缶に解体現場から出た木くずを入れてたき火をしていたところ、近所の住民の通報によりパトカーで駆けつけた警察官に「廃棄物の不法焼却(野焼き)」と断定され、何度かの取り調べの末、S社は廃棄物処理法違反の両罰規定により30万円の罰金刑を受けてしまいました。

さて、この先S社はどうなるでしょうか?

5択問題です。正解は何番でしょうか?

  1. きちんと30万円の罰金を国庫に納めればそれでチャラなので、通常どおり営業できる。
  2. A事業所の破砕機の設置許可のみが取り消され、A事業所では操業ができないのでB事業所で頑張る。
  3. S社の産業廃棄物処分業許可とAB両事業所の破砕機の設置許可が取り消されるので、産廃と一廃の収集運搬業だけで何とか頑張る。
  4. S社の産業廃棄物処分業許可とAB両事業所の破砕機の設置許可、及び産業廃棄物収集運搬業許可が取り消されるので、Y市の一般廃棄物収集運搬業だけで何とか頑張る。
  5. 産業廃棄物処分業許可、AB両事業所の破砕機の設置許可、5つの自治体の産業廃棄物収集運搬業許可、及びY市の一般廃棄物収集運搬業許可のすべてが取り消されるので、廃業を考えている。

「欠格要件は恐ろしい」という流れで話しが進んでいますので、「1」は当然あり得ません。

正解は「5」なのですが、欠格要件には、「許可を与えた後も、欠格要件に該当したら必ず許可を取り消す」という意味合いもあり、「許可権者(都道府県知事等)は必ず許可を取り消さなければばらない」という法律の条文に則り、「すべての許可が必ず」が取り消されることになります。

せっかく頑張って取得した許可が水泡に帰してしまいますから、経営者の方は欠格要件の中味をよく理解していただき、決して該当することのないよう心してください。

『許可取消し』の行政処分が下される3つの要件

以下の3つの要件のいずれかに該当した場合、行政処分としての『許可取消し』が待っています。

これをやってしまうと大変です。

  1. 会社が環境関連法違反で罰金刑を受けた時
  2. 会社が過失によって「廃棄物処理法」に違反した場合だけでなく、「大気汚染防止法」「水質汚濁防止法」「騒音規制法」などの法律で定められた規制値を超えてしまい、10万円の罰金刑を受けた場合も欠格要件に該当します。

  3. 役員等が「禁固刑以上の刑罰」または「環境関連法違反や傷害罪等で罰金刑」を受けた時
  4. 役員が飲酒運転をして危険運転致死傷罪に問われて執行猶予付きの懲役刑を受けた場合や、役員が自宅の廃家電を裏山に不法投棄して罰金を支払った場合や、酔っぱらって相手の胸ぐらをつかんで暴行罪に問われ罰金刑を受けた場合などが該当します。

  5. 【連鎖取消し】役員等を兼務している他社が、重大な違反により処理業の許可取消し処分を受けた時
  6. 役員aと役員bがともに法人A社の役員であったとき、役員aが不法投棄などの重大な違反行為(※)によって罰金の有罪判決を受けてしまうと、役員aは欠格要件に該当し、同時に法人A社も欠格要件に該当するため、法人A社の処理業許可が取り消されます。

    そして、法人A社の許可取り消しにより役員bも欠格要件に該当するため、役員bが法人B社の役員も兼務していた場合は、法人B社もまた欠格要件に該当するため、法人B社が保有する処理業許可は取り消されます。

    一方、法人B社の役員を務める役員cについては、許可の取消し処分を受けた法人B社の役員ですが、2010年廃棄物処理法の改正により欠格要件に該当しないこととなったことから(法第7条第5項第4号ニ)、役員cは欠格要件に該当せず、役員cが役員を兼務している法人C社の処理業許可は、取消しにはなりません(法改正前は無限連鎖でしたが、現在は一次連鎖で終了します)

    ※重大な違反の内容
    「廃棄物処理法」第25条から第27条の罰則、及び「暴力団員による不当な行為の防止に関する法律」の罰則に該当した場合と、浄化槽法(昭和58年法律第43号)第4条第2項の規定により許可を取り消された場合が該当します。

    1. 第25条(5年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金)
    2. 第26条(3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金) 
    3. 第27条(2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金)

    「廃棄物処理法」第25条から第27条の罰則はこちら >>> 刑事処分と両罰規定

許可取消し処分のその後

  1. 業の許可と施設の設置許可も取消される
  2. 一般廃棄物と産廃廃棄物の別なく、以下の両方の許可が全て取り消されます。
    ①処理業の許可(収集運搬業許可と処分業許可)(廃棄物処理法第14条の3の2)
    ②処理施設の設置許可(廃棄物処理法第15条の3)

  3. 全ての自治体の許可が取り消される
  4. 複数の自治体で許可を取得していた場合、ひとつの自治体で許可取消しの行政処分が下ると全ての自治体の許可が取り消されます。

  5. 許可取消しを受けた法人又は個人事業主は
  6. 許可取消しを受けた法人又は個人事業主は、取消しから5年が経過するまでは欠格者のままなので、その間は法人又は個人事業主として新規に許可を取得することができません。
    新規許可申請を行なっても不許可となり、申請手数料を納めるだけになります。

  7. 許可が取消された企業の役員や5%以上の株式を保有する株主は
  8. 同様に許可が取消された企業の役員や5%以上の株式を保有する株主も、取消しから5年が経過するまでは欠格者のままなので、その間は許可取得(新規又は更新)を予定している新会社の役員や5%以上の株式を保有する株主にはなれません。
    新規許可申請を行なった場合は不許可となり、更新許可申請を行なった場合は、現有の許可が取り消されます。

建設業許可は大丈夫か?

廃棄物処理法違反により処理業許可を取り消されたS社が、とび・土工工事業や解体工事業の「建設業許可」も有していた場合、この「建設業許可」はどうなるでしょうか?

答えは、「廃棄物処理法違反により、一定期間の営業停止処分(監督処分)を受ける。」となります。

監督処分とは、建設業者の不正行為等の内容に応じて指示、営業停止、許可の取消しの処分を行なう事をいいますが、廃棄物処理法違反では建設業許可が取り消されることはありません。

欠格要件の対象者は、会社の運命をにぎっている

産業廃棄物処理業の許可がその企業にとって生命線であるという場合、これら欠格要件の対象者には、「何かあった場合は会社の存続を危うくすることになる」ということを十分認識してもらう必要があります。

先日、産廃業の許可をお持ちの代表取締役の方からこんな相談の電話をいただきました。

「高速道路でオービスを光らせてしまったけど、大丈夫でしょうか?」

行政書士ですので、「道路交通法違反の反則金や罰金刑なら欠格要件に該当しません。」としか答えられないのですが、どうも制限速度80㎞/時のところを2倍近い速度が出ていたようで、心配で夜も寝られないということです。

速度制限違反であっても違反の程度によっては、反則金(青切符)や罰金刑(赤切符)を通り越して「執行猶予付きの懲役」の可能性があり、欠格要件に該当しますから、残念ながらこうなった場合はアウトです。

【閑話休題】 退任した役員の欠格要件も調べられる?
産業廃棄物処理業の許可を取得している法人の役員が変更になった場合は、変更になった日から30日以内に所管の自治体窓口に『変更届』を出さなければなりません。

新たに就任した役員については、「本籍記載のある住民票」や自治体によっては「登記されていないことの証明書」の提出を求められます。

自治体の審査窓口では、新規申請や更新申請同様、関係各署に欠格要件の照会をかけて、新任役員が欠格要件に該当しないことを確認しているわけですが、もしも新任役員が欠格要件に該当していたら目も当てられません。飛んで火にいる夏の虫です。

それでは辞任や退任した役員の場合はどうでしょう。

辞めた役員については、住民票や登記されていないことの証明書などの提出は求められないので、変更届の鑑と新旧役員対照表などの提出で足りますから、自治体の審査窓口では役員リストのデータベースから当該役員を削除して終わりかと思っていましたが、違いました。

先日、中部地方の自治体に役員退任の変更届を提出したところ、退任役員の現住所と本籍をあらためて確認されたのでその訳を尋ねたところ、「新規許可日または更新許可日から退任するまでの間、その役員が欠格要件に該当してなかったどうかを関係各署に照会をかけるためです。」との回答がありました。

おー、コワ! 中部地方のこの自治体だけですか?それともどこの自治体もやっているのですか?

欠格要件恐るべし。

さて、記事が長くなりましたので、続きは  あまりにも恐ろしい欠格要件の話し-その③ のコラムをどうぞ。

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あまりにも恐ろしい欠格要件の話ーその①

【1】欠格要件のふたつの意味

許認可申請の際に必ず登場する『欠格要件』

許認可申請の際に必ず登場するのが「欠格要件」です。

産業廃棄物処理業に限らず建設業や宅建業など、許認可の種類ごとに「申請者及びその関係者が、現在又は過去において、欠格要件に該当した場合は許可しない」と規定されています。

欠格要件には以下の二つの意味があります。

●欠格要件の二つの意味

  1. これから許可を取得する時の欠格要件
  2. 許可を取得した後の欠格要件

欠格要件の対象者は

廃棄物処理法の欠格要件に関する条文に『役員等』と出てくるのですが、具体的には以下のようにかなり範囲が広いです。

●欠格要件の対象者 :『役員等』
《法人の場合》

  1. 法人自体
  2. 役員(役員の他に監査役、相談役、顧問も含む)
    ※従前より「会計参与」は対象外でしたが、平成30年3月30日に環境省環境再生・資源循環局廃棄物規制課長が発出した「行政処分の指針について」という通知(環循規発第 18033028号)では、「定款の定めにより監査の範囲を会計に関するものに限定された監査役」も該当しないと記されていますので、今後自治体によっては監査役も会計参与と同様、欠格要件の対象から外れるものと思われます。
  3. 持ち株比率5%以上の株主(※1)
  4. 政令使用人(※2)

《個人事業主の場合》

  1. 個人事業主本人
  2. 政令使用人(※2)

(※1)持ち株比率 5%以上の株主とは
直近の「確定申告書 別表2」に株主の情報が掲載されています。
発行株式総数の5%以上を保有する株主(個人又は法人)が対象になります。

(※2)政令使用人(令第6条の10に規定する使用人)とは
使用人として登記済の者の他、申請者の使用人で次に掲げる事務所等の代表者(平たく言うと支店長のこと)をいいます。

  1. 本店又は支店
  2. 継続的に業務を行う事ができる施設を有する場所で、廃棄物の収集、運搬又は処分 若しくは再生の業に係る契約を締結する権限を有する者

【2】『許可を取得する時』の欠格要件

5年遡って犯歴と暴力団との関わりを調べられる

欠格要件のひとつ目の意味合いは、「産業廃棄物処理業の許可を取得する場合、その申請者が欠格要件に該当する時は許可を与えない」ということです。

産業廃棄物の許認可の「欠格要件」の詳細は以下を参照してください。
許可の4要件(4つクリアでOK!)①ヒト

落ち込む社員たち産業廃棄物収集運搬業の新規許可申請をする場合、申請の前5年間において、会社自体はもちろん役員・監査役・5%以上の株を保有する株主などが、これらの欠格要件に該当しませんということを、代表取締役(個人業者の場合はその個人)が署名捺印した「誓約書」を都道府県知事に提出します。

申請書を受理した都道府県は、約1ヶ月かけて「誓約書どおり、会社・役員・株主等が欠格要件に該当していない」ことの裏付けをとるために、関係機関に対し過去の犯歴や暴力団との関わりなどを照会するという作業をしています。

役員や株主等の身元調査はとても重要

万が一、誓約書に反して欠格要件に該当した場合は、100%許可は下りませんし、申請手数料も戻りません。

役員等を新しく選任する場合は、プライバシーの侵害に抵触しない配慮をしつつ、5年前まで遡って事前に身元をしっかり調査しておく必要があります。

刑務所に収監されたことや、誰かの胸ぐらをつかんで暴行罪で略式起訴されて罰金を納めたことは、本人もその周囲の人も容易には忘れないでしょうが、5年前に個人的に裏山に不法投棄をして「罰金刑」を受けたことは、ともするとすっかり忘れている可能性もあります(前科として残っているので行政にはわかってしまいます)。

申請の前5年間の事前調査で欠格要件の該当者が判明したら、これはむしろ幸運なことで、役員を下りてもらったり、総発行株式の5%未満になるように株を譲渡するなどの対応をすれば申請は可能です。

ただし、法人自体又は個人事業主本人が欠格要件に該当する場合は、手の打ちようがありません。

前科を調べる

「許可申請にあたって、うちの役員の前科を調べよう」と社長さんが考えたとしても、それはかないません。

個人の前科の記録は高度な個人情報で、保存管理しているのは「警察」「検察」「本籍のある市町村」のみで、産廃の許可申請を理由に開示を請求しても教えてもらえませんので、第三者がそれを知ることはできません。

許可申請をする場合は、役員全員と5%以上の株式を保有する株主に前科を自己申告してもらうしかありません。

さて、記事が長くなりましたので、続きはあまりにも恐ろしい欠格要件の話-その②  のコラムをどうぞ。

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このゴミの排出事業者は誰?③

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Q.民泊の清掃業者です。民泊のゴミは誰のゴミですか?

遺品整理業者Q. 民泊で出たゴミは誰のゴミですか?
A. 民泊を経営している事業者のゴミです。

Q. 民泊で出たゴミは一廃ですか? 産廃ですか?
A. 事業系一般廃棄物と産業廃棄物の両方が出てきます。

Q. 事業系一般廃棄物と産業廃棄物はどのように処理すればいいですか?
A. 民泊を経営している事業者自らが、一般廃棄物は自治体の
  クリーンセンターに、産業廃棄物は処分の委託契約を締結している中間処分場に持ち込みます。

Q. 民泊を経営している事業者自らが運搬できない場合はどうしますか?
A. 一廃は、一般廃棄物収集運搬業許可を有している業者に委託します。
  産廃は、産業廃棄物収集運搬業許可を有している業者に委託します。

Q. 民泊の清掃業者が、一廃又は産廃を運搬するにはどうしたらよいですか?
A. 産廃収集運搬業許可は、都道府県単位で一定の要件を満足すれば必ず許可取得ができます。
  一廃収集運搬業許可は、区市町村単位で取得しなければなりません。
  ただし自治体によっては新規に許可申請を受理しないところがありますので、
  営業する区市町村ごとに許可申請を受理してくれるかどうかを確認する必要があります。

Q.船舶から排出されるゴミは誰のゴミですか?

船舶が港に帰航した際に、本船が必要な生活物資を供給している積込会社A社から問合せをいただきました。

生活物資の積込み作業を行なった際、本船で排出したゴミの陸揚げをお願いされる場合があるそうで、代わりにゴミの処理を代行しても良いかとの問い合わせです。

A社としては顧客に対して便宜を図ってあげたいということでしょうが、結論から言いますとA社は排出事業者になれません。

廃棄物処理法は、建設業のような階層的な請負という方式を認めていませんので、あなたのゴミを私どもが下請けとしてちゃんと処理しますというのはあり得ません。

船舶で排出された一般廃棄物と産業廃棄物は、陸揚げされた時点で廃棄物処理法の適用を受けることになるため、排出事業者は例外なく船舶運航事業者です。

陸揚げされた一般廃棄物と産業廃棄物は、船舶運航事業者の事業活動によって排出されたものですから、自らの責任で自らが適正に処理するか、できない場合は処理業の許可を有する第三者に委託する必要があります。

処理業の許可を有していないA社が、陸揚げされた廃棄物を「あとは当社がきちんと処理しておきます」と提案し、「それじゃ任したよ」となった時点で、A社と船舶運航事業者の両方が廃棄物処理法違反に問われます(無許可営業と無許可業者への委託)。 

第三者に委託する場合は、収集運搬と処分の委託契約を締結した処理業者に引き渡し、産業廃棄物については排出事業者である船舶運航事業者がマニフェストを交付しなければなりません。

任せなさい他社の依頼を受けて産業廃棄物を運搬する場合は、『産業廃棄物収集運搬業許可』が必要です。

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このゴミの排出事業者は誰?②

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Q.植木屋を営んでいます。剪定した枝木や刈草は私が出した廃棄物として扱って問題ないですか?

庭師私の事務所がある神奈川県横浜市では植木屋さんが排出事業者と判断していますから問題ありません。

ところがこの判断は、一般廃棄物を管轄する各市町村によって見解が異なるので、必ず各市町村の廃棄物指導課に電話を入れて個々に確認が必要です。

横浜市一般廃棄物指導課では「枝木を剪定した時点で、剪定された枝木は植木屋さんのもの」と定義していますので、植木屋さんは自社運搬として一般廃棄物収集運搬業許可がなくても、横浜市の焼却工場(事前に搬入届の提出は必要)や木くずのリサイクル工場に持ち込むことが可能です。

Q.食品メーカーから委託を受けて倉庫業を営んでいる場合、賞味期限切れなどによって生じる廃棄物は、倉庫業者に排出責任がありますか?

倉庫食品メーカが排出事業者になります。

倉庫の商品の所有権と廃棄の判断をする権限は、食品メーカーにあると考えられるからです。

倉庫業者が単なる保管業務だけでなく、梱包や発送代行などの業務を請け負っており、その業務によって排出された廃棄物については、倉庫業者が排出事業者となると考えてよいでしょう。

OEMなどの製造委託先から生じる廃棄物も、たとえ原材料等を発注元から支給されていたとしても、その製造の管理をしている製造委託先が排出事業者となると考えてよいでしょう。

排出事業者が誰であるかが決まらないと、マニフェストを交付する責任が誰にあるかも決まりません。

判断に迷う場合には、排出責任者となるものを当事者間の契約書で明確に取決めすることが必要です。

Q.住宅の解体工事を孫請けの立場で請け負いました。下請業者と委託契約を締結して建設廃棄物を収集運搬していますが、問題ないですか?

このケースの場合、すでに委託基準違反の状態になっています。

産業廃棄物の『排出事業者』とは、ひとつの例外を除けば「排出物が有価物であった時の最後の占有者」と定義づけてよいと思います。

ひとつの例外とは、『建設工事の建設廃棄物』です。

廃棄物処理法第21条の3第1項に「建設工事の建設廃棄物の処理責任は、元請業者にある」と定めらており、建設工事を発注した注文主でもなければ、下請業者でもありません。

下請代金は、元請業者 → 下請業者 → 孫請業者というフローになりますが、孫請業者が建設廃棄物を収集運搬する場合、委託契約書の相手方は下請業者ではなく排出事業者である元請業者となり、元請業者から委託を受けて産廃を収集運搬することになります。

当然、マニフェストは元請業者が交付することになります。

建設業関連の詳細はこちら >>> 建設業者さん必見!収集運搬許可が必要なのは誰?

Q.一般住宅の解体工事を請け負った際、建物の所有者から不要となったタンスもいっしょに処理してほしいと言われたのですが、引受けて問題ないですか?

残置物 (2)この場合のタンスのように解体家屋に残された建物所有者の所有物を「残置物」といいます。

『残置物の排出事業者(排出者)= 建物の所有者』となりますから、残置物の処分責任はあくまでも建物の所有者であり、解体工事の元請業者が排出責任者となる建設廃棄物とは取扱いが異なります。

一般住宅から出てくる残置物はすべて『一般廃棄物』ですので、解体業者さんが産業廃棄物収集運搬業許可を持っていても無許可営業になりますから、これらを安易に収集運搬することはできません。

残置物の取り扱いについては、解体工事の契約時点で、「いついつまでに残置物を所有者の責任で処分する」ということをしっかり確認する必要があります。

少量だからといって「残置物を大量の建設廃棄物(産業廃棄物)に紛れ込ませて運んでしまう」という行為は、廃棄物処理法違反にあたる可能性がありますので注意が必要です。

Q.自動販売機に備え付けられた回収ボックスで回収された飲料容器は誰が排出事業者になりますか?

自動販売機を設置している土地・建物の所有者とベンダー(飲料製造業者、販売業者)の間で交わす当初の契約に、どちらが排出事業者になるかをあらかじめ取り決めることが必要です。

Q.同一敷地内に複数のグループ企業がある場合、グループ全体として排出事業者になれますか?

なれません。

排出責任は、個々の独立した法人にあるとするのが法律の考え方ですから、たとえ親会社と子会社が同じ敷地内にあったとしても、法人格が異なれば産業廃棄物の処理に係る委託契約は、個々のグループ企業の名義において行われなければなりません。

任せなさい他社の依頼を受けて産業廃棄物を運搬する場合は、『産業廃棄物収集運搬業許可』が必要です。

産廃許可なら横浜市の産廃専門 Y&Y行政書士事務所に全部お任せ下さい!   

このゴミの排出事業者は誰?①

誰が排出事業者?

廃棄物処理法では、「この法律でいう排出事業者とは、・・・・」というような定義づけをしていませんが、法第3条第1項で次のように規定しています。

●廃棄物処理法第3条第1項
(事業者の責務)
事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。

一般家庭から生じる廃棄物(すべて一般廃棄物)を考えた場合、「排出事業者は、有価物時代の最後の所有者」と定義してもあながち間違いではなさそうですが、産業廃棄物の場合はこれをそのまま引用しただけでは判断に迷うことがあります。

そこで産業廃棄物の排出事業者が誰かを考える場合、通常以下の判断基準を用います。

●産業廃棄物の排出事業者はキミだ!

  1. 廃棄物の排出原因となった事業を行なう者(会社)
  2. 廃棄物を排出するひとくくりの仕事(事業)を支配・管理している者(会社)
    ※廃棄物を排出する事業を支配・管理している者(会社)が、発生抑制、分別等を
    一番的確に行なうことのできる立場にいるからという考え方です。

廃棄物をめぐって複数の当事者が関係する場合の例を以下に取り上げ考察してみますが、基本は上記のとおり『ひとくくりの仕事を支配している会社が排出事業者』と考えてみるとわかりやすいと思います。

Q.テナントビルの清掃業者です。清掃作業で生じた廃棄物の排出事業者は誰ですか?

すでに廃止となったのですが、参考になると思われるのが次の通知です。

●清掃後の産業廃棄物(昭和57年6月14日 環産第21号から抜粋)
(問14)
清掃業者が事業場の清掃を行なった後に生ずる産業廃棄物について、その排出者は清掃業者であると解してよいか。
(答)
当該産業廃棄物の排出者は事業場の設置者又は管理者である。
清掃業者は清掃する前から事業場に発生していた産業廃棄物を一定の場所に集中させる行為をしたにすぎず、清掃業者が産業廃棄物を発生させたものではない。

●下水管渠の汚でい(平成5年3月31日付衛産36号から抜粋)
(問12)
下水道管理者から下水管渠の清掃を委託された者が清掃に伴って排出された汚でいを自ら運搬する場合、当該者は収集運搬業の許可が必要であると解してよいか。 
(答)
お見込みのとおり。

ビルメン作業員清掃作業を「清掃する前から事業場に発生していた産業廃棄物を一定の場所に集中させる行為」と定義していますので、明らかに清掃・整理・保管に類する作業の場合は、テナントで出た廃棄物は『各テナント』が、ビルの共用部分で出た廃棄物は『ビルの所有者・管理者』が、排出事業者になるというのは合点がいきます。

ただし、上記の通達にあるとおり、廃水処理に伴って生じる『汚泥』については、この排水処理設備を設置している事業者が排出事業者であると明確に示されていますので、清掃業者が汚泥の産業廃棄物収集運搬業許可なしで運ぶことはできません。

Q.ビルの床清掃業者です。『ワックスの剝離洗浄廃液』の排出事業者は誰ですか?

公益社団法人全国ビルメンテナンス協会が、「剝離洗浄廃液の処理・排出方法に関するガイドライン」をHPにて公開しています。

●「剝離洗浄廃液の処理・排出方法に関するガイドライン」から抜粋)

【第3条】 剥離洗浄廃液の排出者(排出事業者)を明確にする
清掃管理業務発注者とビルメンテナンス会社で、廃棄物処理法上の排出者を契約書で明文化しておくことが必要である。
【第4条】 剥離洗浄廃液の処理・排出に係る費用負担を明確にする
清掃管理業務発注者とビルメンテナンス会社で、費用負担を契約書で明文化しておくことが必要である。これは、経費負担のトラブルを未然に防ぐことにもつながる。
(省略)
【第7条】 産業廃棄物処理業者へ委託する場合は、必ず許可を得た業者を選定する
不適正な処分が行われている場合は排出者も罰せられる。

「ビルメンテナンス業者」または「設備やビルの所有者または管理者」の両方が剥離洗浄廃液の排出事業者になれるということなので、契約の段階で明確にしておかないとトラブルを起こしそうです。

第7条にあるとおり、ワックス剥離洗浄廃液を必ず産業廃棄物処理業者へ委託しなければならないとは規定しておらず、pHを調整して(アルカリ性を中和して)雑排水として処理も可能としていますが、自治体によっては禁止されているということですので、自治体の関係部署に確認が必要です。

平成26年11月に開催された「ビルメンテナンスフェアTOKYO2014」で開催された「剝離廃液の適正処理について」と題したセミナーで、東京都環境局の職員の方が講演された内容の一部を抜粋して紹介いたします。

ここで紹介された運用の仕方はあくまでも東京都の場合であって、全国共通という訳ではありませんので、必ず関係する自治体に確認する必要があります。

●「剝離廃液の適正処理について」平成26年11月12日のセミナーから抜粋)

    (1)具体的に日常の維持管理で発生する廃棄物の排出事業者を考えると次のようになります。

    • ビルの雑排水槽等の汚泥 ⇒ビルのオーナー
    • テナントから出た廃蛍光ランプ ⇒各テナント
    • テナントそして入居しているラーメン店のオイルトラップ汚泥 ⇒テナント
    • ビルの共有部分から出た廃棄物 ⇒ビルのオーナー
    • メンテナンス業者が直営工事で発生させた材料等の廃棄物 ⇒メンテナンス業者
    (2)床清掃業者が自身で用意したワックス剥離剤の廃液については、床清掃業者が排出事業者になります。ただし、その剥離剤がオーナー支給の場合は、排出事業者はオーナーになります。
    (3)廃液処理等に関する質疑応答(Q&A)の抜粋

    • Q2 床清掃で発生するワックス剝離廃液を下水道に放流してもよいですか?
      A2 未処理の廃液をそのまま下水道に放流した場合、剝離廃液の成分によっては、管の詰まりや腐食を発生させたり、下水の処理に支障を生じさせるなど下水道施設に悪影響を及ぼすおそれがあります。このため、排水を希釈して中和などで基準をクリアして下水道へ放流して下さい。中和など十分な処理が行なえない場合は、産業廃棄物として適正に処理して下さい。(略)なお、ビルの清掃作業に伴う廃液を産業廃棄物として処理する場合は、清掃を行なった清掃業者が排出事業者となります。
    • Q6 剝離作業を下請けに出した場合の排出責任者は誰になりますか?
      A6 下請け業者が自分で剥離剤を準備して行なった場合は、下請け業者が排出事業者になります。

Q.ビルのメンテナンス業者です。メンテナンスによって生じた廃棄物の排出事業者は誰ですか?

設備のメンテナンス作業が建設工事に該当する場合は、排出事業者は例外なくその工事の元請業者になることが法律で明確に定められています。

これに対して建設工事に該当しないメンテナンスについては、『産廃を発生させたメンテナンス業者』又は『ビル・設備の所有者・管理者』のいずれかが排出事業者となりえますが、残念ながら法定されていないため大いに迷うところです。

『適正な処理・リサイクルができる者が排出事業者になるほうが合理的』 という観点から考えると、メンテナンス作業が大掛かりな場合は「メンテナンス業者」が、メンテナンスが清掃・整理・保管に類する作業の場合は「所有者・管理者」が排出事業者になることが合理的ではないかと考えます。

それでは、大掛かりなメンテナンス作業と大掛かりでないメンテナンス作業の境い目は?と聞かれると、これがまた非常に悩ましいところです。

商習慣があればそれに従うことも間違いではありませんが、このグレーゾーンについては、後々無用なトラブルを起こさないためにもメンテナンス契約の時点で産業廃棄物の排出事業者責任の所在及び費用負担についてあらかじめ定めておくことが必要です。

Q.テナントビルの各テナントからでる廃棄物は、ビル管理会社が排出事業者?

管理人さんビル管理会社が排出事業者ではありません。

テナントから排出される廃棄物は、各テナントが排出事業者になります。

よって、処理委託契約書は各テナントが、収集運搬業者及び処理業者とそれぞれ直接締結するのが基本です。

ただし、日常的なマニフェストの交付事務は、ビル管理業者に業務委託することができます。

廃棄物処理法では、代理人による処理委託契約書の締結を禁止しているわけではないので、ビル管理会社がテナントの代理人となって収集運搬業者や処理業者と契約を結ぶことは可能です(委任状の交付は必要)。

ただし、あくまでも排出者責任は本人であるテナントになりますし、契約書の不備による責任もテナントに及びますので、十分に信頼のおけるビル管理会社であることが要求されます。

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安易な「下取り」にご用心③

>>>このコラムは、安易な「下取り」にご用心② の続きです。

【4】正しい下取り② 新品を販売する際に「有価物として下取りする」

自社の下取りが適法か否か定かでない場合は、どうぞご遠慮無く当事務所にお電話を! 
電話:045-513-1448

『下取り品を買い取る』には原則古物商許可が必要

引き取りの際に「回収品を買い取る」場合は、古物商許可が必要ですか?という問い合わせをいただきます。

リサイクルショップ街の事務機屋さんや街の家具屋さんが、0円で回収したり費用を徴収して回収する場合は廃棄物処理法の対象ですが、引取りの際に1円以上で買い取る場合は、よほど怪しい業者さんでない限り『有価物』と判断できますから、この時点で廃棄物処理法の対象ではなくなり、今度は古物営業法の対象になります。

古物営業法は、「盗品が中古市場で売買されて現金化されることの防止」と「盗品の速やかな発見」を目的に定められた法律です。

盗んできたモノをわざわざ処分費を支払って他人に引き渡す盗っ人はいないでしょうが、1円以上で売買される場合は「それは盗品ではないか?」と可能性を疑われることになり、ほとんどのものが古物営業法の対象になります。
 
古物営業法では下表のとおり、古物を13の品目に分類しています。

古物の区分 具体例
1 美術品類 書画、彫刻、工芸品、登録火縄銃、
登録日本刀など
2 衣類 和服、洋服、敷物類、テーブル
掛け、布団、帽子、旗など
3 時計、宝飾品類 時計、眼鏡、宝石類、装身具類、
貴金属類、コンタクトレンズ、
模造小判、万歩計、オルゴールなど
4 自動車 自動車本体、自動車部品
(タイヤ、カーナビ、サイドミラーなど)
5 自動二輪車及び
原動機付自転車
自動二輪車及び原動機付自転車、
その部品(タイヤ、サイドミラーなど)
6 自転車類 自転車本体、自転車部品
(空気入れ、かご、タイヤなど)
7 写真機類 カメラ、ビデオカメラ、
双眼鏡、望遠鏡、顕微鏡、
光学機器、レンズなど
8 事務機器類 パソコン、コピー機、Fax、
シュレッダー、計算機、
レジスターなど
9 機械工具類 電化製品、工作機械、
土木機械、医療機器類、
ゲーム機、電話機・ポケベル、
化学機械、工具類、猟銃、
小型船舶、自動販売機など
10 道具類 家具、什器、運動用具、楽器、
パチンコ台・玉、CD/DVD、ゲームソフト、
玩具類、日用雑貨、コンテナ、漁業用具、
サーフボード、化粧品など
11 皮革・ゴム製品類 カバン・バッグ(ビニール製も含む)、
靴、毛皮類など
12 書籍 古本、書籍類
13 金券類 商品券、ビール券、乗車券、航空券、
各種入場券、郵便切手、収入印紙、
株主優待券など

以下のものは古物営業法で規定された「古物」に該当しません。

● 「古物」 に該当しないもの

  1. 鉄くず・古銭
  2. 総トン数が20トン以上の船舶
  3. 航空機
  4. 鉄道車両
  5. 重量が1トンを超える機械で、土地や建造物にコンクリートや溶接等で固定され、容易に取り外しができないもの
  6. 重量が5トンを超える機械で(船舶を除く)、自走及び牽引ができないもの
  7. 動物
  8. 食品
  9. 庭石・石灯籠

下取り品がコピー機なら「事務機器類」に、木製の机なら「道具類」に該当しますので、これらを買い取る場合は、原則管轄する警察署に古物商許可の申請が必要になります。

ただし、かなり限定的ですが、新品を販売する際に下取り品を買い取る場合、古物商許可が不要な2つのケースがありますので、次にそれをご紹介します。

古物商許可が不要となるケース①自分が販売した商品を買い取る

古物営業法では、街の事務機屋さんや街の家具屋さんが自分の店(または自分の会社の他の営業所)で販売したコピー機または木製の机を、直接販売した人から買い取る場合に限って古物商許可が不要であると規定しています。

●古物営業法第2条第2項第1号
自己が売却した物品を当該売却の相手方から買い受けることのみを行なう営業は許可を要しない。

「他社が販売したコピー機」や、「お客様がAmazonで購入した木製の机」を買い取る場合は、古物商許可が必要になりますし、自分が販売した製品であっても、お客様が第3者に転売してその第3者から買い取る場合も、古物商許可が必要になります。

「倉庫にある古いコピー機は、5年前に当社がY社に販売したもので、◯月◯日にY社から3万円で下取りしたものです。古物商許可は持ってませんが、なにか?」と警察に対して明快に抗弁ができないと(証拠となる帳票類がないと)、それはそれはややこしいことになります。

古物商許可が不要となるケース②サービスの一環として一定額を値引く

警察庁生活安全局生活安全企画課長が、2018年6月18日付けで各都道府県の警察本部長あてに発出した通知(「古物の下取りに伴う商品の値引きの古物営業の該当性に係る質疑応答について」)が、古物営業に該当しない方法をQ&Aの形で明快に示しています。
(注)下線は筆者が入れました。

●古物の下取りに伴う商品の値引きの古物営業の該当性に係る質疑応答について
(省略)
【問】
新品の販売にあたり、買い換えの対象となった古物を下取りし、新品の販売価格を割り引く「サービス」を行なう場合、古物商の許可を要するか。

【答】
新品を販売する業者が、下取りとして古物を引き取る場合、通常古物の買取りを行なうものであるから、これを業として行なえば古物営業法第2条第2項第1号の古物営業に該当するが、当該取引行為が、いわゆる「「サービス」として行なう値引き」としてとらえることができるときは、古物営業に該当しない。

【問】
どのような場合に「「サービス」としての値引き」に該当するか。

【答】
新品の販売に伴う下取り行為が、次の要件を全て満たす場合は、当該取引は「「サービス」としての値引き」に該当し、古物営業にあたらない。

(1)形式的要件
 下取りした古物の対価として金銭等を支払うのではなく、販売する新品の本来の売価から一定額が差し引かれる形での経理上の処理が行なわれていること。

(2)実質的要件

  • ア 下取りが、顧客に対する「サービス」の一環であるという当事者の意思があること。
  • イ 下取りする個々の市場価格を考慮しないこと。

※「サービス」とは、「商売で値引きをしたり、客の便宜を図ったりすること」をいう。(『広辞苑(第7版)』参照)

「サービス」という単語がこれでもかと出てきますから、この「サービス」という単語がキーワードであるに違いありません。

古物営業を事業目的にしていない小売店にしてみれば、買い換えの対象となる中古品をわざわざ手間暇かけて引き取るのは、顧客の便宜を図るサービスに他ならないのですが、「中古品の売買で利益を出すことを目的にしていないことをきちんと示すことができれば、古物商許可は不要です。」とこの通知は示しています。

そこで、「中古品の売買で利益を出すことを目的にしていないこと」を示すためには、以下の二つのポイントを外さないでください。

  1. 新品の販売伝票には、「下取りサービスによる値引き ○○円」という項目を入れる。
  2. 下取りする掃除機は一律△円の値引き、下取りするスーツは一律▲円値引きというように、下取り品の状態の良し悪しに関わらず一律の値引き額とする。

ところでこの警察庁の通知、最後には『広辞苑(第7版)』の定義まで引用していることに、一種の感銘を覚えてしまいます。

このようなわかりやすい具体的な通知をこれからも期待しています。

【5】まとめ:下取りサービスを新たに展開する場合は

ここまで述べましたように『正しい下取り』を展開するのはけっこう大変です。

Amazonやヨドバシカメラ、ビッグカメラなどの家電量販店が、家電リサイクル法の対象家電(テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコン)以外の回収サービスを行なっていない理由は、『正しい下取り』の難しさにありそうです。

そうかと思えば、通販業者であるジャパネットタカタのように、新品を販売する際に商品ごとに一定の下取り値引き額を提示し、買い換え需要をうまいこと喚起しています。

いずれにせよ、新たに下取りサービスを展開しようとする場合、「他社もやっているから自社も」というのではなく、法的な検証と自治体等への確認など十分な下準備が必要です。

「循環型社会の形成」という観点からすると、「下取り行為」は廃棄物の発生抑制に大いに貢献できるわけですが、前述のとおり、「下取り行為」は廃棄物処理法の条文として規定されている訳ではなく、環境省が発出した通知の「解釈」に基づいているだけなので、積極的な取り組みに対し腰が引けてしまう企業も多いはず。

廃棄物処理法と資源有効利用促進法のはざまにある「下取り行為」を、法的にきちんと定義づけることで多くの企業が積極的に取り組めるようになることを、是非とも行政にお願いしたいものです。

下取りに関連した記事「梱包資材の取扱い方法」はこちら >>> 梱包資材の排出事業者は誰でしょう。

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任せなさい「リスクを回避するために産業廃棄物収集運搬業許可を取得しておいた方がいいかな~」と思われた業者さんは、以下を参考にどうぞ。
>>> 許可取得までの流れ

他社の依頼を受けて産業廃棄物を運搬する場合は、『産業廃棄物収集運搬業許可』が必要です。

産廃許可なら横浜市の産廃専門 Y&Y行政書士事務所に全部お任せ下さい!   

安易な「下取り」にご用心②

>>>このコラムは、安易な「下取り」にご用心① の続きです。

【3】正しい下取り① 新品を販売する際に「廃棄物として下取りする」

自社の下取りが適法か否か定かでない場合は、どうぞご遠慮無く当事務所にお電話を! 
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例外行為なのでけっこう難しい

廃棄物処理法では、製品の製造者や販売者が、以下の6つの条件をすべて満足していれば、排出者責任(適正処理の責任)が製造者や販売者に移行し、回収品を製造者や販売者の拠点に持ち帰るのに収集運搬業許可は不要であると認められています。

●廃棄物処理法における「正しい下取り」のスキーム6条件

  1. 新しい製品を販売する(購入と同時の引取りに限らず、常識的な範囲のタイムラグは可)
  2. 商習慣として通常行われている(引取量が販売量に比して著しく過大でない)
  3. 同種の製品である(他社製品でも同種であれば可)
  4. 使用済みである(使用済みの製品だけでなく、使用済み容器も可)
  5. 無償で引き取る(製品売価に処理費用をこっそり上乗せする行為は脱法とみなされる可能性あり)
  6. 事業者自ら(製品の製造者・販売者)が回収物を運搬する

「認められている」と言っても廃棄物処理法の条文として規定されている訳ではなく、環境省が発出した通知の「解釈」に基づいています。

●平成25年3月29日 環廃産発第13032910 号(環境省)
新しい製品を販売する際に商慣習として同種の製品で使用済みのものを無償で引き取り、収集運搬する下取り行為については、産業廃棄物収集運搬業の許可は不要であること。

廃棄物処理法では、排出者(廃棄物を出した者)は、その廃棄物が安全にかつ完全に無害化されるまでその責任を免れることはできないという原則があるので、下取りによって廃棄物の適正処理の責任が途中で他人に移行してしまうという行為は、まさに例外中の例外であると言えます。

しかも廃棄物処理法の条文にも政令にも規則にも下取り行為の規定が存在しないので、上記の通知を都合のいいように解釈してしまいがちです。

自社が現在行なっている、またはこれから行おうとしている下取り行為について、今一度この「6条件」をすべてクリアできているかどうかを検証してみる必要があります。

外せないポイントは『無償』と『自ら回収』

下取りに来た作業員廃棄物処理法における正しい下取りのポイントは、無償で回収事業者自らが回収の2点です。

運搬費や引取手数料をもらったり、第三者に回収を依頼したりすると、たちまち「下取りのスキーム」から逸脱してしまいます。

地域密着型の商売をされている「街の事務機屋さん」が、買い替えのためにある企業から注文をいただいた新しいコピー機を自社のワゴン車に積んで納品し、設置試運転が終わったら古いコピー機を無償で下取りとして自社のワゴン車に積んで持ち帰るケースは、まさしく『無償で事業者自らが回収』に該当しますので廃棄物処理法上の産廃収集運搬業許可は不要です(無償で引き取っていますので、古物営業許可の対象からも外れます)。

ただし、古いコピー機を自分の店に持ち帰る間は、「自社運搬(自ら運搬)」になりますので、マニフェストの交付は不要ですが、運搬車両に「産業廃棄物収集運搬車」の表示は必要です。

自社運搬の注意点はこちら >>> 自社運搬に許可は不要ですが・・・

ところで、『自ら回収』という点については、「いやいや、先の環境省の通知では、『事業者自らが収集運搬する』とはなっていないのでは?」と思われた方がいらっしゃるかもしれません。

確かに「事業者自ら」と限定した表記にはなっていませんが、実はこの平成25年の環境省の通知は、それから遡ること34年前の昭和54年の旧厚生省の通知をそのまま踏襲しており、製造・販売事業者自らが客先から廃棄物を回収して持ち帰ることを想定しています。

ですから、『製造・販売事業者から委託を受けた別法人の運送業者まで許可不要であるとは認めていない』というのが環境省の見解です。

●以下の場合は、無許可での収集運搬は認められない

  • 販売事業者から新しい製品の運搬を委託された別法人の運送業者が下取り品を回収する
  • 新しい製品到着後に、販売事業者から委託を受けた別法人の運送業者が下取り品を回収する

オイル交換とタイヤ交換

ガソリンスタンドで自動車のエンジンオイルを交換した際に、業許可を持たないガソリンスタンド側が無償で廃オイルを引き取る場合や、自動車整備工場で自動車のタイヤ交換をした際に、業許可を持たない自動車整備工場が無償で廃タイヤを引き取る場合なども、同様に正しい下取りということになります。

オイル交換やタイヤ交換という事業活動によって生じた廃オイルや廃タイヤは、交換が完了した時点でガソリンスタンドや自動車整備工場の産業廃棄物に該当するので、産業廃棄物の廃油や廃プラスチック類として適正に処理しなければなりません。

余談ですが、一般廃棄物に該当する廃タイヤは廃棄物処理法(第6条の3)で「適正処理困難物」に指定されています。

個人の自家用車などで使用されていた一般廃棄物に該当する廃タイヤを、業許可を持たない自動車整備工場が処理料金をもらって引き取ることはできます(新しいタイヤに交換する場合であれば、それだったら他の整備工場に行くわと言われるかもしれませんが)。

排出事業者は誰? 排出場所はどこ?

廃棄物処理法における正しい下取りのスキームで回収される古いコピー機については、下取りを行なった企業=「街の事務機屋さん」が排出事業者になり、産廃の排出場所はコピー機ユーザーのオフィスとなります。

ということは、下取りをしたものが一般家庭から回収した一般廃棄物であったとしても、産業廃棄物の20品目に該当する場合は、産業廃棄物に該当することになります。

前述しました環境省が発出した「平成25年3月29日 環廃産発第13032910 号」の下取りに関する通知では「産業廃棄物」が主語になっています。

これは、一般廃棄物の許認可事務が市町村の「自治事務」であることから、国が直接関与するのではなく市町村が独自に判断すべきとの配慮だと言われていますが、市町村は国の通知に上乗せ条件等を付ける事はあっても、通知内容を全く無視した運用はされていないようですので、主語を「一般廃棄物」と読み替えても問題ないでしょう。

故に、上記の例にある「街の事務機屋さん」と「コピー機」を

「街の事務機屋さん」⇒「街の家具屋さん」
「コピー機」⇒「木製の机」

と読み替えることができます。

無償で回収する下取り品を運送業者さんに委託する場合の『正しい』運用方法

トラックの運転手2上記のとおり廃棄物処理法における正しい下取りのスキームは、『事業者自らが回収』というのが下取りの条件になっていますが、効率的に回収するために通常は運送業者さんに依頼する場合がはるかに多いはずです。

街の事務機屋さんが、コピー機の納品と古いコピー機の回収を自分で行なうのではなく、別法人である運送会社に委託した場合、運送会社は自社の産業廃棄物ではなく他者の産業廃棄物を運搬することになるので、委託を受けた運送会社は産廃収集運搬業許可が必要になります。

回収するコピー機は、「廃プラスチック類、金属くず、ガラ陶」の混合廃棄物ですから、この3品目の許可を取得していないと運搬できません。

そして「街の事務機屋さん」は、運送会社との間で「産業廃棄物収集運搬委託契約」を締結し、「街の事務機屋さん」が排出事業者としてマニフェストを交付しなければなりません。

マニフェストには、「産廃の排出場所(排出事業場)=コピー機ユーザー」「運搬の目的地=街の事務機屋さんの倉庫」と記載する必要があります。

この場合、産廃の荷積みの際に通常は「街の事務機屋さん」は現場にいないでしょうから、紙マニフェストではなく電子マニフェストを運用するか、紙マニフェストの運用を運送会社にお願いしなければなりません。

それでは「街の家具屋さん」から回収の依頼を受けた運送会社が、「木製の机」を回収する場合はどうすればよいでしょうか。

廃棄物となった「木製の机」は産業廃棄物の木くずには該当しないので、運送会社が産業廃棄物収集運搬業許可を有していても運ぶことができません。

ですから答えは、事業系一般廃棄物である「木製の机」を回収する場合は、運送会社が市町村ごとに一般廃棄物収集運搬業許可を取得していなければならないとなります。

これが廃棄物処理法に基づく下取り回収を運送業者さんに委託する場合の『正しい』運用方法ですが、回収するものが産業廃棄物ならまだしも、一般廃棄物に該当する場合はこれは大変厄介、ほぼ不可能としか言いようがありません。

「廃棄物として下取りする」場合の自治体への確認

このように「新品を販売する際に廃棄物として下取りする」というのは、現実的にはかなり制限された、非常に運用しにくいスキームであると言えます。

今運用している下取り方法が、又はこれから運用しようとしている方法が、処理業許可の要否について悩ましいと思われた場合は、最終的には自治体に確認する必要があります。

国が発出した通知に基づき各自治体が独自に下取りの要件を決めていますので、都道府県や市町村をまたいで営業展開している企業は、それぞれの自治体の廃棄物指導課等に対し、上記の「正しい下取り6条件」を満足するスキームを策定の上、以下の様に相談されることをお薦めします。

●相談窓口

  • 産業廃棄物 ⇒ 都道府県(又は政令市)の産業廃棄物指導課等
  • 一般廃棄物 ⇒ 市町村の廃棄物指導課等

※同じ地域で下取り対象が産廃と一廃の両方に該当する場合は、両方の窓口で相談が必要です。

●自治体の廃棄物指導課にアポをとった上で・・・

産廃及び一廃の収集運搬業許可や処分業許可を有していない当社が、この内容のスキームで下取りを行なうが、廃棄物処理法上の問題はありませんか?

さて、記事が長くなりましたので、続きは 安易な「下取り」にご用心③ のコラムを御覧ください。

任せなさい「リスクを回避するために産業廃棄物収集運搬業許可を取得しておいた方がいいかな~」と思われた業者さんは、以下を参考にどうぞ。
>>> 許可取得までの流れ

他社の依頼を受けて産業廃棄物を運搬する場合は、『産業廃棄物収集運搬業許可』が必要です。

産廃許可なら横浜市の産廃専門 Y&Y行政書士事務所に全部お任せ下さい!   

安易な「下取り」にご用心①

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【1】みんなやってる、こんな 『下取り』!

自社の下取りが適法か否か定かでない場合は、どうぞご遠慮無く当事務所にお電話を! 
電話:045-513-1448

自社の『下取り』は適法か?

下取りに関してお客様から様々な問合せをいただきますが、以下の8つの下取りのケースについて、皆さんはどのように回答しますか?

登場人物である、販売業者・運送業者(一般貨物自動車運送業許可有り)は、いずれも特別な許可は取得していません。

●以下の8つの質問のうちコンプライアンス上、『正しい下取り』 と判断できる行為はいくつあるでしょうか? 正解は3つあります。

Q1
他社製のマッサージチェアを使用していたユーザーに、自社製のマッサージチェアを販売した際に、販売業者自身が他社製品を無償で回収した。

Q2
扇風機を使用しているユーザーにエアコンを販売した際に、販売業者自身が扇風機を無償で回収した。

Q3
電子レンジを販売し納品した際に、納入して半年後に今まで使用していた古い電子レンジを販売業者自身が無償で回収した。

Q4
空気清浄機を販売した際に、古い空気清浄機をお客様から2,000円の処分費用を徴収して販売業者自身が回収した。

Q5
古いソファを無償で引き取る契約でソファを販売し、新しいソファの配送を委託された運送業者が、納品と同時に古いソファを回収した。

Q6
ノートパソコンを販売した際に、お客様がAmazonで購入した古いノートパソコンを査定したうえで、買取価格2,000円をお客様に支払って回収した。

Q7
ノートパソコンを販売した際に、5年前にお客様に直接販売した古いノートパソコンを査定したうえで、買取価格2,000円をお客様に支払って回収した。

Q8
ノートパソコンを販売した際に、お客様がAmazonで購入した古いノートパソコンを査定せず、一律2,000円と決めているノートパソコンの下取り金額を、販売する新しいノートパソコンの請求伝票に記載した上で回収した。

なんと『コンプライアンス上、正しい下取り』と言えるのはQ1、Q7、Q8の3つです。

Q6は古物商許可が必要ですから古物営業法違反の可能性があります。

それ以外のQ2~Q5は、無許可で他人の廃棄物を業として収集運搬したということで、廃棄物処理法違反の可能性があります。

「たいへんたいへん!うちの会社はコンプライアンス違反してるかも」と思われた方がいらっしゃると思います。

昔からあたりまえのように商取引の一環として行なわれている下取りですが、コンプライアンスの観点からすると意外に難しい行為なんですね。

『下取り』の定義と関連する法律

下取りには、『廃棄物として下取りする』場合と、『有価物として下取りする』場合の2つのケースがあり、それぞれ関連する法律が異なります。

  1. 新品を販売する際に 『廃棄物として』 下取りする。
    • 関連する法律 : 廃棄物処理法
    • 定義:適正処理の責任を販売者に移行する行為(廃棄物処理法の例外)
  2. 新品を販売する際に 『有価物として』 下取りする。
    • 関連する法律 : 古物営業法
    • 定義:売買契約により所有権を販売者に移行する行為

それでは、下取りの2つのケースを順に見ていきたいのですが、その前に「明らかに違法!絶対やってはいけない下取り」のケースをふたつ考察します。

【2】やってはいけないこんな下取り

その① 新品を販売する際に「処分費を徴収して」回収する

新品の販売者が、処理業許可を有していない限り、絶対にやってはいけません。

処分費用を徴収した場合、回収品は『廃棄物(一般廃棄物または産業廃棄物)』に該当します。

この場合、廃棄物を適正処理をする責任(排出者責任)は依然として新品の購入者ですから、販売事業者が廃棄物を自社の倉庫に持ち帰る行為は収集運搬業に該当し、収集運搬業許可(積替え保管あり)が当然必要になります。

収集運搬業許可をもたない業者が回収した場合は「無許可営業」となり、引き取ってもらったユーザーが事業者の場合は「無許可業者への委託」となり、どちらも5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金若しくはこれの併科の罰則対象になります。

その② 古物商許可無く「回収品の下取り価格を個々に査定して」下取りする

過去には大手通信会社が古物商許可なしで、中古のスマートフォンを記憶容量の大小で買取価格を変えて(個々の市場価格を考慮して)下取りを行なったため、警察から指摘を受けたことがありましたが、覚えている方もいらっしゃるでしょう。

「下取り品の個々の市場価格を考慮しない」というのが古物商許可不要となる要件ですので、壊れていてもそうでなくても電子レンジは一律▲円を下取り価格として値引額に充当するという運用をしなければなりません。

ですから「回収品の下取り価格を個々に査定して買い取る」という場合は、古物商許可を取得する必要があります。

さて、記事が長くなりましたので、続きは 安易な「下取り」にご用心②のコラムを御覧ください。

任せなさい「リスクを回避するために産業廃棄物収集運搬業許可を取得しておいた方がいいかな~」と思われた業者さんは、以下を参考にどうぞ。
>>> 許可取得までの流れ

他社の依頼を受けて産業廃棄物を運搬する場合は、『産業廃棄物収集運搬業許可』が必要です。

産廃許可なら横浜市の産廃専門 Y&Y行政書士事務所に全部お任せ下さい!   

これって産廃?一廃?その②

このコラムは、 これって産廃?一廃?その①の続きです。

庭石

庭師庭の模様替えをしようということで、造園業者さんに施工を依頼し、ついでに不要になった庭石の撤去もお願いすることがあります。

撤去する庭石の市場価値が高く、転売可能ということで造園業者さんが買い取って持ち帰ることは、庭石が古物商許可の対象外であるため何ら問題ありません。

撤去する庭石を廃棄物として処理費用を支払って回収してもらう場合は、『一般廃棄物』に該当しますので、通常は一般廃棄物収集運搬許可を有する業者さんに依頼することになります。

たいていの造園業者さんは一廃の収集運搬業許可は持っていないでしょうから、市町村に電話をして一般廃棄物収集運搬許可を有する業者さんを紹介してもらいます(もちろん有償になります)。

廃塗料

性状及び成分により次のように廃棄物の種類が異なります。

塗装工

  1. 固型状 :「廃プラスチック類」
  2. 泥状 :「汚泥」
    油分を5%以上含む場合は、「汚泥」と「廃油」の混合物
  3. 水溶性塗料 :「廃プラスチック類」と「廃酸又は廃アルカリ」の混合物
  4. 溶剤系塗料 :「廃プラスチック類」と「廃油」の混合物
    ※溶剤の引火点が70℃未満の場合は、「廃プラスチック類」と「特管物の廃油」の混合物

これらの廃塗料をペール缶に入れたまま廃棄物として委託する場合は、『金属くず』が加わります。

飲食店のグリストラップの汚泥

油分が5%以上なら『廃油』と『汚泥』の混合物に該当しますが、油分が5%未満なら『汚泥』に該当します。

なお、汚泥に野菜くずなどが相当量混入している場合は『一般廃棄物』との混合物に該当することになります。

廃薬品類

薬品の性状により異なります。

  1. 液体 : 『廃酸』、『廃アルカリ』または『廃油』
  2. 泥状 : 『汚泥』
  3. 粉末状、粒状、固形状 : 『一般廃棄物』

引っ越しの時の廃棄物

  1. 【オフィスの引っ越しの場合】
    事務用・応接用の机、椅子、本棚、ロッカー、カーペット類は、それらの材質に応じ、産業廃棄物の『金属くず』『廃プラスチック類』『ガラスくず・コンクリートくず・陶磁器くず』に該当し、木製の机、椅子などは、『一般廃棄物』に該当します。
    残置物 (2)

    荷物を梱包する段ボールについては、再生する場合を除いて『一般廃棄物』となります。

  2. 【一般家庭の引っ越しの場合】
    発生する廃棄物のすべてが『一般廃棄物』となります。

オフィスの引っ越しの場合、事務用・応接用の机、椅子、本棚、ロッカー、カーペット類は、それらの材質に応じ、産業廃棄物の『金属くず』『廃プラスチック類』『ガラスくず・コンクリートくず・陶磁器くず』に該当し、木製の机、椅子などは、『一般廃棄物』に該当します。

荷物を梱包する段ボールについては、再生する場合を除いて『一般廃棄物』となります。

一般家庭の引っ越しの場合、発生する廃棄物のすべてが『一般廃棄物』となります。

廃乾電池(マンガン乾電池やアルカリ乾電池)

『金属くず』と『汚泥』の混合物に該当します。廃乾電池2

  1. 外装の亜鉛管や鉄容器 : 『金属くず』
  2. 中に入っている黒色の二酸化マンガンと炭素棒(黒鉛) : 『汚泥』

電池工業会のQ&Aを見ますと、乾電池には30年以上前から水銀ゼロになっているそうです(マンガン乾電池は1991年から、アルカリ乾電池は1992年から水銀を使わなくなりました)。

マンガン乾電池やアルカリ乾電池の処理を委託する場合、収集運搬業者と処分業者の許可証の汚泥と金属くずに、「水銀使用製品産業廃棄物を含む」という記載がなくてもかまいません。

廃バッテリー(鉛蓄電池)

『廃プラスチック類』『金属くず』『廃酸(特管物)』の混合物に該当します。

  1. 電解液であるpH2.0以下の希硫酸 : 『特管の廃酸』
  2. 樹脂ケース : 『廃プラスチック類』
  3. 極板(鉛)と端子類: 『金属くず』
    ※分別された極板が鉛再生資源として有価で取り扱われる場合は有価物

廃蛍光ランプ

廃蛍光ランプ (2)『ガラスくず・コンクリートくず・陶磁器くず』『金属くず』『廃プラスチック類』の混合物に該当しますが、ほとんどの蛍光ランプは水銀を使用していますので、『水銀使用製品産業廃棄物』に該当します。

ガラス管を破損させない状態で、水銀回収設備を有する中間処理場に処理を委託します。

処理過程で蛍光管内部の蛍光体を分離したものは、『汚泥』に該当します。

水銀使用製品産業廃棄物の詳細はこちら >>> 「水銀使用製品産業廃棄物」ってナニ?

廃消火器

  1. 消化器本体 : 『金属くず』
  2. ホース    : 『廃プラスチック類』
  3. 充填された粉末状の消化剤 : 『一般廃棄物』

廃消火器の不法投棄をなくし、法律を遵守した円滑で効率的な廃消火器の回収・リサイクルを進めるため、一般社団法人日本消火器工業会が廃棄物処理法の特例である広域認定制度(産廃、一廃の両方)を取得し、その運用に際して必要な業務を行う為に「株式会社消火器リサイクル推進センター」という法人を設立しました。

不要になった消火器は、引き取りを依頼したり、特定窓口に自らが持ちこむことができます(一般家庭の場合は、宅配便で送ることもできます)。

広域認定制度のもとで回収がなされるので、事務所や飲食店など事業活動から排出された廃消火器であっても、委託契約書やマニフェストの運用は必要ありません。

詳細はこちら >>> ㈱消火器リサイクル推進センター
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