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安易な「下取り」にご用心③

>>>このコラムは、安易な「下取り」にご用心② の続きです。

【4】正しい下取り② 新品を販売する際に「有価物として下取りする」

自社の下取りが適法か否か定かでない場合は、どうぞご遠慮無く当事務所にお電話を! 
電話:045-513-1448

『下取り品を買い取る』には原則古物商許可が必要

引き取りの際に「回収品を買い取る」場合は、古物商許可が必要ですか?という問い合わせをいただきます。

リサイクルショップ街の事務機屋さんや街の家具屋さんが、0円で回収したり費用を徴収して回収する場合は廃棄物処理法の対象ですが、引取りの際に1円以上で買い取る場合は、よほど怪しい業者さんでない限り『有価物』と判断できますから、この時点で廃棄物処理法の対象ではなくなり、今度は古物営業法の対象になります。

古物営業法は、「盗品が中古市場で売買されて現金化されることの防止」と「盗品の速やかな発見」を目的に定められた法律です。

盗んできたモノをわざわざ処分費を支払って他人に引き渡す盗っ人はいないでしょうが、1円以上で売買される場合は「それは盗品ではないか?」と可能性を疑われることになり、ほとんどのものが古物営業法の対象になります。
 
古物営業法では下表のとおり、古物を13の品目に分類しています。

古物の区分 具体例
1 美術品類 書画、彫刻、工芸品、登録火縄銃、
登録日本刀など
2 衣類 和服、洋服、敷物類、テーブル
掛け、布団、帽子、旗など
3 時計、宝飾品類 時計、眼鏡、宝石類、装身具類、
貴金属類、コンタクトレンズ、
模造小判、万歩計、オルゴールなど
4 自動車 自動車本体、自動車部品
(タイヤ、カーナビ、サイドミラーなど)
5 自動二輪車及び
原動機付自転車
自動二輪車及び原動機付自転車、
その部品(タイヤ、サイドミラーなど)
6 自転車類 自転車本体、自転車部品
(空気入れ、かご、タイヤなど)
7 写真機類 カメラ、ビデオカメラ、
双眼鏡、望遠鏡、顕微鏡、
光学機器、レンズなど
8 事務機器類 パソコン、コピー機、Fax、
シュレッダー、計算機、
レジスターなど
9 機械工具類 電化製品、工作機械、
土木機械、医療機器類、
ゲーム機、電話機・ポケベル、
化学機械、工具類、猟銃、
小型船舶、自動販売機など
10 道具類 家具、什器、運動用具、楽器、
パチンコ台・玉、CD/DVD、ゲームソフト、
玩具類、日用雑貨、コンテナ、漁業用具、
サーフボード、化粧品など
11 皮革・ゴム製品類 カバン・バッグ(ビニール製も含む)、
靴、毛皮類など
12 書籍 古本、書籍類
13 金券類 商品券、ビール券、乗車券、航空券、
各種入場券、郵便切手、収入印紙、
株主優待券など

以下のものは古物営業法で規定された「古物」に該当しません。

● 「古物」 に該当しないもの

  1. 鉄くず・古銭
  2. 総トン数が20トン以上の船舶
  3. 航空機
  4. 鉄道車両
  5. 重量が1トンを超える機械で、土地や建造物にコンクリートや溶接等で固定され、容易に取り外しができないもの
  6. 重量が5トンを超える機械で(船舶を除く)、自走及び牽引ができないもの
  7. 動物
  8. 食品
  9. 庭石・石灯籠

下取り品がコピー機なら「事務機器類」に、木製の机なら「道具類」に該当しますので、これらを買い取る場合は、原則管轄する警察署に古物商許可の申請が必要になります。

ただし、かなり限定的ですが、新品を販売する際に下取り品を買い取る場合、古物商許可が不要な2つのケースがありますので、次にそれをご紹介します。

古物商許可が不要となるケース①自分が販売した商品を買い取る

古物営業法では、街の事務機屋さんや街の家具屋さんが自分の店(または自分の会社の他の営業所)で販売したコピー機または木製の机を、直接販売した人から買い取る場合に限って古物商許可が不要であると規定しています。

●古物営業法第2条第2項第1号
自己が売却した物品を当該売却の相手方から買い受けることのみを行なう営業は許可を要しない。

「他社が販売したコピー機」や、「お客様がAmazonで購入した木製の机」を買い取る場合は、古物商許可が必要になりますし、自分が販売した製品であっても、お客様が第3者に転売してその第3者から買い取る場合も、古物商許可が必要になります。

「倉庫にある古いコピー機は、5年前に当社がY社に販売したもので、◯月◯日にY社から3万円で下取りしたものです。古物商許可は持ってませんが、なにか?」と警察に対して明快に抗弁ができないと(証拠となる帳票類がないと)、それはそれはややこしいことになります。

古物商許可が不要となるケース②サービスの一環として一定額を値引く

警察庁生活安全局生活安全企画課長が、2018年6月18日付けで各都道府県の警察本部長あてに発出した通知(「古物の下取りに伴う商品の値引きの古物営業の該当性に係る質疑応答について」)が、古物営業に該当しない方法をQ&Aの形で明快に示しています。
(注)下線は筆者が入れました。

●古物の下取りに伴う商品の値引きの古物営業の該当性に係る質疑応答について
(省略)
【問】
新品の販売にあたり、買い換えの対象となった古物を下取りし、新品の販売価格を割り引く「サービス」を行なう場合、古物商の許可を要するか。

【答】
新品を販売する業者が、下取りとして古物を引き取る場合、通常古物の買取りを行なうものであるから、これを業として行なえば古物営業法第2条第2項第1号の古物営業に該当するが、当該取引行為が、いわゆる「「サービス」として行なう値引き」としてとらえることができるときは、古物営業に該当しない。

【問】
どのような場合に「「サービス」としての値引き」に該当するか。

【答】
新品の販売に伴う下取り行為が、次の要件を全て満たす場合は、当該取引は「「サービス」としての値引き」に該当し、古物営業にあたらない。

(1)形式的要件
 下取りした古物の対価として金銭等を支払うのではなく、販売する新品の本来の売価から一定額が差し引かれる形での経理上の処理が行なわれていること。

(2)実質的要件

  • ア 下取りが、顧客に対する「サービス」の一環であるという当事者の意思があること。
  • イ 下取りする個々の市場価格を考慮しないこと。

※「サービス」とは、「商売で値引きをしたり、客の便宜を図ったりすること」をいう。(『広辞苑(第7版)』参照)

「サービス」という単語がこれでもかと出てきますから、この「サービス」という単語がキーワードであるに違いありません。

古物営業を事業目的にしていない小売店にしてみれば、買い換えの対象となる中古品をわざわざ手間暇かけて引き取るのは、顧客の便宜を図るサービスに他ならないのですが、「中古品の売買で利益を出すことを目的にしていないことをきちんと示すことができれば、古物商許可は不要です。」とこの通知は示しています。

そこで、「中古品の売買で利益を出すことを目的にしていないこと」を示すためには、以下の二つのポイントを外さないでください。

  1. 新品の販売伝票には、「下取りサービスによる値引き ○○円」という項目を入れる。
  2. 下取りする掃除機は一律△円の値引き、下取りするスーツは一律▲円値引きというように、下取り品の状態の良し悪しに関わらず一律の値引き額とする。

ところでこの警察庁の通知、最後には『広辞苑(第7版)』の定義まで引用していることに、一種の感銘を覚えてしまいます。

このようなわかりやすい具体的な通知をこれからも期待しています。

【5】まとめ:下取りサービスを新たに展開する場合は

ここまで述べましたように『正しい下取り』を展開するのはけっこう大変です。

Amazonやヨドバシカメラ、ビッグカメラなどの家電量販店が、家電リサイクル法の対象家電(テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコン)以外の回収サービスを行なっていない理由は、『正しい下取り』の難しさにありそうです。

そうかと思えば、通販業者であるジャパネットタカタのように、新品を販売する際に商品ごとに一定の下取り値引き額を提示し、買い換え需要をうまいこと喚起しています。

いずれにせよ、新たに下取りサービスを展開しようとする場合、「他社もやっているから自社も」というのではなく、法的な検証と自治体等への確認など十分な下準備が必要です。

「循環型社会の形成」という観点からすると、「下取り行為」は廃棄物の発生抑制に大いに貢献できるわけですが、前述のとおり、「下取り行為」は廃棄物処理法の条文として規定されている訳ではなく、環境省が発出した通知の「解釈」に基づいているだけなので、積極的な取り組みに対し腰が引けてしまう企業も多いはず。

廃棄物処理法と資源有効利用促進法のはざまにある「下取り行為」を、法的にきちんと定義づけることで多くの企業が積極的に取り組めるようになることを、是非とも行政にお願いしたいものです。

下取りに関連した記事「梱包資材の取扱い方法」はこちら >>> 梱包資材の排出事業者は誰でしょう。

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>>> 許可取得までの流れ

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