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あまりにも恐ろしい欠格要件の話し-その②

◆ 「ソレ、身に覚えがあるかも」

産業廃棄物許可を申請し申請書類が受理されると、行政庁は会社自体(法人又は個人)・役員・5%以上の株を保有する株主・法定使用人などについて前科や暴力団との関連を徹底的に調査します。

失礼をお許しください

産業廃棄物の許可を取得したいというお問合せをいただいたお客様には、電話口でまず初めに役員の欠格要件のことをお聞きしています。

【質問】 この5年の間に会社自体又は役員・株主で次のような人はいませんか?

  1. 環境系の法律例えば廃棄物処理法とか水質汚濁防止法とかに違反をして罰金を払ったことがある。
  2. 刑務所に入ったことがある。または人を殴ったりなどして罰金を払ったことがある。

電話するお兄さん2お客様にこんな失礼なことを質問するのですから、もちろんきちんと前置きをしてからお聞きしています。

許可の4要件のうち最も対処が難しい要件が「欠格要件」ですから、これに該当した場合はずばり次のように申し上げています。

「役員を下りていただいて、変更登記をして会社の登記簿謄本から名前を外してください。そうでないと許可はとれません。」

電話の相手が社長さんの場合は、大抵は「えっ!」という短い言葉を発したあと、しばらく沈黙の時間が流れます。

ストレス社会!事情は分かりますが暴力はいけません

お問合せの中で、廃棄物処理法や大気汚染防止法・水質汚濁防止法・浄化槽法などの環境系の法律に違反したことがあるというお客様はほとんどありませんが、「昔、暴力をふるってしまって警察のお世話になった」というお客様は少なからずいらっしゃいます。

廃棄物処理法では8項目の欠格要件を設けておりますが、そのひとつに「暴力団・暴行・傷害等」の要件があり、過去5年間に以下の対象者が「暴力団・暴行・傷害等」の欠格要件に該当する場合は許可がおりません。

● 欠格要件の対象者
罰金2

  1. 申請した法人自体
  2. 申請した個人事業主本人
  3. 役員(監査役・相談役・顧問なども含む)
  4. 5%以上の株を保有している株主
  5. 支店長(政令使用人)

ちなみに、この欠格要件の内容は、建設業許可を取得する際の欠格要件にもなっていますので、建設業許可をこれから取得するとお考えの業者さんもご参考にどうぞ。

● 次に掲げる罪を犯し、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない人がいる時(廃棄物処理法第7条第5項4号ハ)

  • 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(第31条第7項を除く。)
  • 刑法第204条(傷害罪)
  • 刑法第206条(現場助勢罪)
  • 刑法第208条(暴行罪)
  • 刑法第208条の3(凶器準備集合及び結集罪)
  • 刑法第222条(脅迫罪)
  • 刑法第247条(背任罪)
  • 暴力行為等処罰に関する法律
    (団体または大勢による集団的な暴行、脅迫、器物損壊、面会強要などを一般的な刑法上の犯罪よりも特に重く処罰する法律のことです)

※「暴行罪や傷害罪より罪が重い強盗罪・強姦罪・恐喝罪は該当しないのか?」と疑問に思う方がいらっしゃるかもしれませんが、安心してください。これらの罪状には罰金刑がなく「懲役刑」しかありませんから、自動的に欠格要件に該当します。

上記の廃棄物処理法の条文のとおり、何かの理由で他人に暴力をふるってしまっても罰金刑以上の刑罰が執行されなければ欠格要件には該当しません。

それでは暴力をふるってしまって罰金刑を言い渡されるということはどういうことかを、『刑法第204条の傷害罪』と『刑法第208条の暴行罪』を例にとってまとめてみました。

つかむな我慢!殴るな危険!

暴行罪と傷害罪の違いを簡単に言いますと、「相手の胸ぐらをつかんで平手打ちをしたら暴行罪」に、「相手が鼻血を出してしまったら傷害罪」に問われる可能性があります。

もちろんこれらの行為に至る状況は千差万別ですから、あくまでも可能性があるということですが、起訴されて有罪判決が下されると一般的に暴行罪は罰金刑、傷害罪は罰金刑か懲役刑の判決が下されます。

暴行罪 傷害罪
根拠条文 刑法第208条 刑法第204条
罪状の意味 暴行を加えた者が人を傷害するに
至らなかったとき
人の身体を傷害したとき
公訴時効 3年 10年
刑罰 2年以下の懲役、30万円以下の罰金、
30日未満の拘留、1万円未満の科料の
いずれか
15年以下の懲役又は50万円以下の罰金

暴行罪や傷害罪の成立過程は以下のとおりです。

● 暴行罪や傷害罪の成立過程
刑事さん2

  1. 他人に暴力をふるって現行犯逮捕または被害届により警察から呼び出しがあります。
  2. 警察で事情聴取され、容疑がはれない場合は検察官に事件が引き継がれ、拘留ののち起訴されます。
  3. 起訴には正式起訴(公判請求)略式起訴(略式請求)があります。
    正式起訴は公開の法廷で刑事裁判を受け、懲役刑を受ける可能性があります。
    略式起訴の場合は、裁判は被告人抜きの密室で行われ、下される刑罰も罰金だけとなります。

たとえ警察署の地下にある留置場に入ったとしても、軽微な犯罪と認められ身元引受人を立てて釈放されれば、罰金刑を受けることはありませんので欠格要件とは無関係です。

あくまでも起訴されて罰金刑以上の刑が確定し前科がついた場合のみ、欠格要件に該当します。

起訴されないためには、逮捕されたり逮捕が予定された時点で優秀な弁護士さんをたてて、被害者と示談交渉を進めるなどして事件が不起訴処分になるように手を打つ必要があります。

何といっても日本の司法制度は、起訴されたら99%有罪判決になりますから、弁護士費用は高いなんて言ってはいられません。

余談ですが、お問合せの中には、「スピード違反で罰金を受けたことがあるけど許可はとれますか?」というお客様が大勢いらっしゃいます。

スピード違反の時にきられる青切符というのは行政処分としての「反則金」のことですし、一般道での30㎞/hオーバーや高速道路での40㎞/hオーバーのスピード違反に科される赤切符の「罰金」は、あくまでも道路交通法違反に基づくもので欠格要件には該当しません。

前科を調べる

「許可申請にあたって、うちの役員の前科を調べよう」と社長さんが考えたとしても、それはかないません。

個人の前科の記録は高度な個人情報で、保存管理しているのは「警察」「検察」「本籍のある市町村」のみで、産廃の許可申請を理由に本人自らが開示を請求しても教えてもらえませんし、ましてや第三者がそれを知ることはできません。

許可申請をする場合は、役員全員と5%以上の株式を保有する株主に前科を自己申告してもらうしかありません。

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