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廃棄物と有価物の境い目は?②

>>> このコラムは廃棄物と有価物の境い目は?①の続きです。

◆「総合判断説」の正しい使い方

「総合判断説」5つのポイント/ただし明確な判断基準がありません

「総合判断説」とはその名のとおり、ある物が廃棄物なのか有価物かは、次の5つの観点に照らし合わせて総合的に判断するというルールのことです。

ただし残念なことに、「ひとつのポイントあたり20点で合計が100点、70点以上なら有価物と判断して差し支えない。」というような明確な判断基準が存在しません。

「総合判断説」の5つのポイント

  1. (物の性状)
    利用用途の要求品質を満足し、生活環境保全上の支障が生じるおそれがない
  2. (排出の状況)
    需要に沿って定期的に排出される
  3. (通常の取引形態)
    製品としての市場が形成されおり、通常は廃棄物として処理されていない
  4. (取引価格の有無)
    有償譲渡されており、処理費を徴収していない
  5. (占有者の意思)
    排出事業者が適切に利用できる有価物だと思っており、有償譲渡する意思がある

1から5までのポイント全てにチェックが入らなければ有価物とは認められないとか、ひとつでもチェックがはいれば有価物として認められるというようなものではなく、あくまでも5項目全体を総合的に判断するということなので、判断する人によって結論が異なる可能性が大です。

明確な判断基準がないので、自分は有価物と判断したけれども、行政には廃棄物と判断されるリスクもありますから、ジャッジを任された人はそれはそれは大変です。

有価物か廃棄物かのジャッジを任された場合、社会通念上明らかに無理がある判断といわれることのないように、判断の手順と大事なポイントを考察したいと思います。

まずは『物の性状』をチェックする

平成25年3月に環境省から出された「行政処分の指針について」の通知の「廃棄物該当性の判断」という項目に、次のような記述があります。

(2) 廃棄物該当性の判断について(環廃産発第 1303299号 平成25年3月29日)

 廃棄物とは、占有者が自ら利用し、又は他人に有償で譲渡することができないために不要となったものをいい、これらに該当するか否かは、その物の性状、排出の状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無及び占有者の意思等を総合的に勘案して判断すべきものであること。
 廃棄物は、不要であるために占有者の自由な処理に任せるとぞんざいに扱われるおそれがあり、生活環境の保全上の支障を生じる可能性を常に有していることから、法による適切な管理下に置くことが必要であること。

後半部分に着目すると、「生活環境保全上、支障をきたすものは廃棄物該当性が高い。」と読み取ることができます。

すると不要となった『物の性状』が「有害性のある物」「悪臭がする物」などのネガティブ要因を含んでいた場合、その物は廃棄物該当性が高いと考えても異論はないと思われます。

総合判断説の5つのポイントにウエイト付けをするとしたら、一番目にやることは対象物がネガティブ要因を含んでいるかいないかをチェックすることであると考えてよいと思います。

次に『取引価格の有無』をチェックする

上記の「行政処分の指針」に戻りますが、「廃棄物は、不要であるためにぞんざいに扱われるおそれがある」と言ってます。

必要でないものをわざわざお金を出して買うはずはないので、1円以上出して買ったものは当然自分には必要なものでしょうから、購入した時点で「ぞんざいに扱うおそれ」はなくなるはずですから、廃棄物該当性は低いと考えても異論はないと思われます。

これとは逆に「処理費用をもらって」物を回収した場合は、その回収物を「ぞんざいに扱うおそれ(例えば処理費用だけ懐に入れて、回収物は河川敷に不法投棄する)」は大きいと言えますから、廃棄物該当性は限りなく高いと考えられます。

総合判断説の5つのポイントで二番目にやることは、不要となったものの『取引価格の有無』をチェックすることですが、この際に注意が必要なのは、『手元マイナス(逆有償)』のケースです。

例えば排出事業者(A)が、加工業者(C)から「排出物(W)を工場に持ってきてくれるなら継続的に購入しますよ」というオファーをもらったとします。

排出事業者(A)が排出物(W)を加工業者(C)の工場までの運送料を経費として販売価格から差し引いても、きちんと売買利益を得られたとしたら、これはれっきとした有償譲渡ですから問題ないのですが、加工業者(C)が遠方にあるためで運送料が高くついてしまい、販売価格から運送料を経費として差し引いたら利益がマイナスかまたはトントンになってしまうことがあります。
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このような状態を『手元マイナス(逆有償)』といいます。

利益がマイナスということは、「処理料金を払って排出物(W)を引き取ってもらっているのと同じ」と考えられますから、これは廃棄物と考えても矛盾しませんし、これを有価物と抗弁するには、他に理由が必要になります。

『手元マイナス(逆有償)』をもう少し詳しく >>> 手元マイナス(逆有償)の対応

それでも判断がつかない場合は

『物の性状』と『取引価格の有無』の両方がクリアできれば、有価物該当性が極めて高くなるといってよいと思います。

しかし、それでも判断がつかない場合は「排出の状況」「通常の取扱い形態」「占有者の意思」を補足的に使用して、それこそ総合的に判断するしかありません。

最終的に有価物であると判断した場合、有価物該当性を対外的に(例えば行政に)それを証明できるような「売買契約書」や「品質管理基準」などのエビデンスが必要になりますが、それを実現するのが困難な場合は、初めから「廃棄物」として運用すべきでしょう。

そして、有価物か廃棄物かの判断は自治体によって判断が異なることがありますので、判断に迷う場合は運用の前に所管自治体に確認することが必要です。

現実的なことを申し上げれば、『物の性状』と『取引価格の有無』の両方がクリアできれば、残りの3要素が極端に悪くなければ、有価物と判断されているといえます。

『有価物抗弁の棚卸』をしてみる

前述しました環境省が平成25年3月29日に発出した「行政処分の指針について」という通知の中に、廃棄物の脱法的な処理と判断される場合は、いたずらに行政指導を繰り返すだけでなく、躊躇せず行政処分を下し、当該違反行為が犯罪行為に当たる場合は、捜査機関と十分に連携を図ることという要旨の記述があります。

そして、通知の中の廃棄物該当性にかかる部分では、安易に「有価物抗弁」を認めてはいけないという主旨の記述があります。

(2) 廃棄物該当性の判断について(環廃産発第 1303299号 平成25年3月29日)

(前半略)なお、占有者と取引の相手方の間における有償譲渡の実績や有償譲渡契約の有無は、廃棄物に該当するか否かを判断する上での一つの簡便な基準に過ぎず、廃プラスチック類、がれき類、木くず、廃タイヤ、廃パチンコ台、堆肥(汚泥、動植物性残さ、家畜のふん尿等を中間処理(堆肥化)した物)、建設汚泥処理物(建設汚泥を中間処理した改良土等と称する物)等、場合によっては必ずしも市場の形成が明らかでない物については、法の規制を免れるため、恣意的に有償譲渡を装う場合等も見られることから、当事者間の有償譲渡契約等の存在をもって直ちに有価物と判断することなく、(略)

行政から「あなたの排出しているもの、回収保管しているものは廃棄物では?」と問われた時に、「総合判断説」に基づいた明快な説明と証明が必要です。

『取引価格の有無』のみや『占有者の意思』だけをことさら主張するだけでは、改善命令や措置命令の対象となるので、自社で扱っている有価物について、きちんと「有価物抗弁の棚卸」をする必要があります。

有価物と主張していたものが、「それはどう見ても廃棄物でしょう」と判断されたら大変です。

廃棄物処理業許可(収集運搬、処分)が無い場合は、無許可営業となり重い罰則が待っています。

◆有名な判例の紹介

環境省の通達などにも影響を与えたと言われている有名な判例をふたつ紹介いたします。

ただし、この判例から「有価物と廃棄物の境い目は?」の疑問はクリアになりません。

結局のところ、有価物であると主張するためには、『第三者に対し、総合判断説の5条件について自信を持って説明できるエビデンスを準備すること』に尽きるのではないかと思います。

自信が持てないのであれば、「廃棄物」として運用するしかありません。

●おから裁判 (最高裁第二小法廷平成11年3月10日決定)
総合判断説を認めた有名な判決がこのおから裁判です。

《事件の概要》
処分業許可を持たない飼料会社が、料金を受け取っておからを回収し、それを加工して飼料として販売していた。
廃棄物処理法の無許可営業で、飼料会社が起訴された。

《結果》
おからは「廃棄物である」と結論づけ、飼料会社は有罪となった。

《判決の主旨》
客観的性状、排出状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無、事業者の意思等を総合判断してこの場合のおからは産業廃棄物に該当する。
おからは非常に腐敗しやすく、社会的価値が下がる。
通常は無償で牧畜業者等に引き渡されるか廃棄物とみなされ処理がなされている。

●水戸木くず事件 地裁判決 (水戸地裁平成16年1月26日判決)
排出事業者側が手元マイナス(処理費用を支払っている)にもかかわらず、全体としては取引価値が認められるので廃棄物に該当しないという、従来の廃棄物処理法の解釈とは異なる驚きの判決です。

《事件の概要》
建設廃材等の木くずを料金を受け取って受け入れて、処分業許可を受けずに木材チップを製造・販売していた事業者が、廃棄物処理法の無許可営業で起訴された。

略式裁判で水戸簡裁から罰金50万円の略式命令が出たが、チップ加工会社はこれを拒否して争われた。

《結果》
従来の廃棄物処理法の解釈とは異なり、木くずは「廃棄物ではない」と結論づけた。
この地裁の無罪判決は控訴されず、チップ加工会社の無罪が確定した。

《判決の主旨》
木くずが「有償譲渡(料金を取って回収している)」されているからと言って、すぐに「廃棄物」とはならない。

排出事業者にとっては産廃処理費用が安くなり、チップ加工会社にとってはチップの売却費が得られるという、双方にとって利益があるということで、排出事業者側が処理料金を支払っているにもかかわらず取引価値が認められため、木くずは廃棄物ではないとされた。 

●水戸木くず事件 再審高裁判決 (東京高裁平成20年4月24日判決)
排出事業者としては、「えーーー!」という判決です。
リサイクル事業が「製造業」と認められれば、廃棄物処理法の規制は及ばないという判決は画期的ですが、「私どもがやっているリサイクル事業は、製造業です」とどのように証明したらよいのでしょうか。
廃棄物か有価物かの判断をますます難しくしてしまったのではと思います。

《事件の概要》
チップ加工会社の無許可営業が無罪とされた水戸地裁の判決を受けて、すでに無許可業者に産廃の処理を委託したとして(廃棄物処理法の委託基準違反)、略式命令による罰金刑が確定していた排出事業者が、再審請求を行なった。

《結果》
水戸地裁の判決では「廃棄物にはあたらない」とされた木くずが、今度は「廃棄物である」とされ、改めて排出者の有罪が確認された。

《判決の主旨》
リサイクル事業が廃棄物処理法の規制を受けないとするならば、継続性、製造事業として確立している必要がある。

このチップ加工会社は受入量、管理体制、事業計画などから製造事業としての確立はないと判断された。

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