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廃棄物と有価物の境い目は③

>>> このコラムは廃棄物と有価物の境い目は②の続きです。

【3】有名な判例の紹介

有価物と判断するか廃棄物と判断するかで争われた裁判で、かつ環境省の通達などにも影響を与えたと言われている有名な判例をふたつ紹介いたします。

ただし、この判例から「有価物と廃棄物の境い目は?」の疑問はクリアになりません。

結局のところ、有価物であると主張するためには、『第三者に対し、総合判断説の5条件について自信を持って説明できるエビデンスを準備すること』に尽きるのではないかと思います。

自信が持てないのであれば、「廃棄物」として運用するしかありません。

●おから裁判 (最高裁第二小法廷平成11年3月10日決定)
総合判断説を認めた有名な判決がこのおから裁判です。

《事件の概要》
処分業許可を持たない飼料会社が、料金を受け取っておからを回収し、それを加工して飼料として販売していた。
廃棄物処理法の無許可営業で、飼料会社が起訴された。

《結果》
おからは「廃棄物である」と結論づけ、飼料会社は有罪となった。

《判決の主旨》
客観的性状、排出状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無、事業者の意思等を総合判断してこの場合のおからは産業廃棄物に該当する。
おからは非常に腐敗しやすく、社会的価値が下がる。
通常は無償で牧畜業者等に引き渡されるか廃棄物とみなされ処理がなされている。

●水戸木くず事件 地裁判決 (水戸地裁平成16年1月26日判決)
排出事業者側が手元マイナス(処理費用を支払っている)にもかかわらず、全体としては取引価値が認められるので廃棄物に該当しないという、従来の廃棄物処理法の解釈とは異なる驚きの判決です。

《事件の概要》
建設廃材等の木くずを料金を受け取って受け入れて、処分業許可を受けずに木材チップを製造・販売していた事業者が、廃棄物処理法の無許可営業で起訴された。

略式裁判で水戸簡裁から罰金50万円の略式命令が出たが、チップ加工会社はこれを拒否して争われた。

《結果》
従来の廃棄物処理法の解釈とは異なり、木くずは「廃棄物ではない」と結論づけた。
この地裁の無罪判決は控訴されず、チップ加工会社の無罪が確定した。

《判決の主旨》
木くずが「有償譲渡(料金を取って回収している)」されているからと言って、すぐに「廃棄物」とはならない。

排出事業者にとっては産廃処理費用が安くなり、チップ加工会社にとってはチップの売却費が得られるという、双方にとって利益があるということで、排出事業者側が処理料金を支払っているにもかかわらず取引価値が認められため、木くずは廃棄物ではないとされた。 

●水戸木くず事件 再審高裁判決 (東京高裁平成20年4月24日判決)
排出事業者としては、「えーーー!」という判決です。
リサイクル事業が「製造業」と認められれば、廃棄物処理法の規制は及ばないという判決は画期的ですが、「私どもがやっているリサイクル事業は、製造業です」とどのように証明したらよいのでしょうか。
廃棄物か有価物かの判断をますます難しくしてしまったのではと思います。

《事件の概要》
チップ加工会社の無許可営業が無罪とされた水戸地裁の判決を受けて、すでに無許可業者に産廃の処理を委託したとして(廃棄物処理法の委託基準違反)、略式命令による罰金刑が確定していた排出事業者が、再審請求を行なった。

《結果》
水戸地裁の判決では「廃棄物にはあたらない」とされた木くずが、今度は「廃棄物である」とされ、改めて排出者の有罪が確認された。

《判決の主旨》
リサイクル事業が廃棄物処理法の規制を受けないとするならば、継続性、製造事業として確立している必要がある。

このチップ加工会社は受入量、管理体制、事業計画などから製造事業としての確立はないと判断された。

【4】有価物にも規制がかかります

『雑品スクラップ保管等届出制度』について

2018年4月1日より、『有害使用済機器(雑品スクラップ)保管等届出制度』が施行されました。

ここでいう『雑品スクラップ』とは、廃棄物でなく、かつ製品リユースもされない家庭用電気・電子機器32品目のことで、回収した雑品スクラップをスクラップヤードで保管したり破砕などの処理を業として行なう場合、処理業許可業者などを除き、都道府県知事・政令市長に対し、事前に届出することが義務付けされました。

有価で回収したパソコンを解体し、基板、ハードディスク、電源など比較的価値の高い部品を中古市場に販売する場合、回収したパソコンは多くの場合「有価物である」と判断されてきました。

『雑品スクラップ』が有価物であるがうえに、廃棄物処理法に基づく規制を受けずにスクラップヤード等で環境保全上不適切に取り扱われ、火災や有害物質の漏えい等、生活環境上の支障を生じることが懸念されるということが今回の法規制の背景です。

廃棄物処理法は制定以来「廃棄物」のみにフォーカスして今日に至っていますが、はじめて「有価物」に焦点をあてたという意味では画期的と言えるかもしれません。

『有害使用済機器(雑品スクラップ)保管等届出制度』の詳細はこちらから
>>> 雑品スクラップ保管等届出制度

任せなさい「リスクを回避するために産業廃棄物収集運搬業許可を取得しておいた方がいいかな~」と思われた業者さんは、以下を参考にどうぞ。
>>> 許可取得までの流れ

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